Quantcast
Channel: Father's Eyes
Viewing all articles
Browse latest Browse all 21

日本にいる難民も守ろう

$
0
0

今、日本にいろいろな感情がうずまいていると思います。

 

理不尽な暴力の支配にあっている現地の方々に対して私たちに何ができるのか私には分かりません。どうやったら日本がテロに巻き込まれない国になれるのかも分かりません。蛮行に対してどういう態度で臨むのがいいのかも分かりません。誰も分からないと思います。すぐに国民的コンセンサスが得られるような問題でもないと思います。いろいろな意見が出て当然だと思います。

 

今回大変な悲劇が起きてしまいましたが、「問題」自体はもともとずっと前から存在していたはずです。難しい問題、すぐに答えの出せない問題、動的な問いに、いよいよ向き合わざるを得なくなっているのだと思います。でも焦って拙速な答えをねつ造してはいけないとも思います。今私たちにできることは、基本的には、改めて歴史を学び、今何が起きているのかを知り、感情ではなく、確かな知識と思考を持って、みんなで議論しながら、その都度一つ一つの判断にみんなが責任をもつことだと思います。教育という分野に関わる者としては、教育の重要性を改めて強く感じています。

 

ただ、震災直後も同様でしたが、今回はそれ以上に、目下、一般の人々にできることは限られています。圧倒的な無力感ゆえ、極端な言動に走ってしまう人たちも一部にはいるのではないかと心配です。そこで、まずできる行動の一つの選択肢として、せめて日本にやってきた難民の皆さんを支援するという方法を提案したいと思います。

 

「こんな活動をしているので、寄付してください」というメッセージは、街中でもネット上でもたくさん目にします。でもそれらすべてにお応えすることはできません。申し訳ないのだけど。私もできることなら、もっとたくさんの団体にもっとたくさんの寄付をしたい。しかし私にも自分の生活がありますから、自分の所得の○%を寄付に回すと決めて、そのわずかな額を、毎月いくつかの団体に割り振る形で寄付しています。

  

みんな、限られたお金の中から寄付する先を決めなければなりません。どこかに寄付をするということはどこかに寄付しないことを決めることになります。これはとても辛い決断です。だから私は「寄付」の勧誘には非常に慎重であるつもりです。むやみに人を誘ったりはしません。自分がどんな団体にいくらくらい寄付をしているかは明かしません。だから今回の提案も、あくまでも現状に対して自分たちにも今すぐできる行動の一つの選択肢として、「知って」いただければと思います。

 

日本にいる難民の皆さんを支援するということは、感情的な意味でいいことであるだけでなく、現在の国際情勢において、実はとても強いメッセージになるのではないかとも思っています。

 

テロ集団の支配下にある現地は、まるで漫画「北斗の拳」の世界そのものなのでしょう。自分の住んでいる場所がそうなってしまうことを想像すると、恐ろしくてしょうがありません。もしそうなったら、ケンシロウやアイアンマンが登場して、悪い奴だけ捕まえて、武器を取り上げ、牢屋に入れてほしいと妄想してしまいます。しかしあれはまさしく漫画の世界のヒーローです。現実にはそんなヒーローはいません。

 

シリアでの内戦が拡大して、多数の死者が出ただけでなく、多数の難民が隣国に流れ込んでいることは皆さんもご存じでしょう。無敵のヒーローの登場を期待することはできませんが、少なくとも彼らには「逃げ場」が必要です。敵を懲らしめるのではなく、まずは目の前の困っている人を救うという意味で、「シンドラーのリスト」のシンドラーや「六千人の命のビザ」の杉浦千畝は現実のヒーローです。難民の受け入れというのはどの国にもできる人道的支援の一つだと思います。それがテロ集団の支配の下で暮らす人々にとって、恐怖から抜け出すための、一縷の望みになるかもしれません。

 

しかし現実には日本は、難民にとても冷たい国です。毎年約1000人の難民が来日しており、平成25年に難民申請を届け出た人数は3260人でしたが、日本で難民に認定された人はたったの6人です。つい先日は偽装難民の存在も一部で報道されていましたから、認定は慎重に行われなければいけないというのもわかりますし、日本に来ている難民の全員が、現在の中東情勢に関係しているわけでもありませんが、そこは二の次の問題でしょう。

 

国として国民がテロに巻き込まれないように対策するのは当然。実際にテロと戦っている国を何らかの形で支援するのも大事。でも、少なくとも日本にいる難民のみなさんのことも「絶対に守る」という心意気を国として示すことも重要ではないでしょうか。そういうアピールなら、敵を増やすこともないはずです。

 

私たちは悪い奴らをなぎ倒すケンシロウやアイアンマンにはなれません。でも、少なくとも目の前で困っている人を助けることはできます。そうやって国際的に協調して、一人でも多くの人を恐怖の支配から救い出すことができればそれも、じわりじわりとテロに対抗する一つの手段になるのではないかと思います。

 

まずは、下記サイトを見てみてください。

認定NPO法人 難民支援協会 https://www.refugee.or.jp


Viewing all articles
Browse latest Browse all 21

Trending Articles